2017年4月24日月曜日

淡々と、飄々と。

4月18日 そよ風ペダル 担当:梶川

追加ページをもらっての脚本稽古が続いています。
毎回の稽古で筒井さんからいろいろな切り口で今回の作品で求められる演技の提案がなされているように思います。
総じて抑制の効いた演技なのではないかと感じます。
抑制: おさえとどめること。 意識的な努力によって衝動やそれに伴う感情・思考をおさえつけること。
日本語で考えると押さえつけて身動き取れなくする感じですが、英訳するとコントロールとも言えます。
例えば今回の稽古で台詞のやりとりで声の発し方にルールを設けています。
このルールに則れるかどうかというところに、ひとつの抑制があると思うのです。
今日は居様や表情に関して淡々と飄々とした状態を保ちたいという事が言われました。
これもルールとなっていくように思います。
演技に抑制が効いてくると何が良いのか。
ここでの意味が重要になってきます。
意識して(コントロールして)衝動やそれに伴う感情・思考をおさえつける。
演技において衝動が必要なのですが、この衝動というやつが何とも曲者で。
その衝動は果たして本当に自然発生したものなのか、自分で用意してしまったものなのか。
自然発生してこその衝動なわけですが、演技となると自前で用意してしまっている可能性が拭いきれません。
そこでまずはあらゆる衝動をコントロール下に置いてしまい、つまりは衝動でなくしてしまい全てを自分で用意したものであることにしてしまいます。
その様に演技を組み立てていって、それでもなお脚本からなのか相手役とのやり取り故なのか、何ゆえの刺激によるのかわかりませんがどうしたってコントロールできず溢れてしまうものが本当の衝動なはずです(それも疑い始めるとどうだかわからなくなりますが)
自然発生の衝動には強さと説得力がともないます。
しかしもしかすると、いつまでもこの衝動は起こらないかもしれません。
それだとしても構いません。
偽物の(自前の)衝動を見せられた場合、それが自前のものだと見抜かれてしまい観客は距離をとります。
少なくとも抑制された演技をしていれば、この距離が生まれることはありません。
抑制された演技は、見ている側に衝動を起こす可能性があります。
観客が自分の好きな衝動を用意して、そこに補っていくことができるのです。
そのことを想像というのでしょう。
つまりは抑制された演技は白いキャンバスです。
観客がそこに好きな衝動という絵具を塗っていきます。
先に絵具を塗っておいて、それを見せる作品もあります。
今回はそうではないという事です。
抑制して、白いキャンバスを用意しましょう。