2016年10月6日木曜日

段取りをドラマにするために。

10月4日 そよ風ペダル 担当:梶川

脚本稽古を積み重ねています。
筒井さん曰く、現段階は目指すべき高い演技スキルと、そもそもあるべき基礎演技の間の中間の演技で作品を成立させているようだということです。
高い演技スキルは目標としてこれから向かっていくとして、では今抜けている基礎演技とは何かということが問われます。

また現段階で段取りが全て決まり、それをもとに演技しています。
しかし段取りをこなすことが大切なのではなく、この段取をドラマに変える、ドラマを生み出す事が大切ですという話もありました。

ドラマとは何でしょう?






人によってさまざまに意見がわかれるところで、ドラマと一口に言ってもぼんやりとしたイメージでしかとらえられなくて、具体的に何を指すのかがその時の使い方によって変わってきます。
観客が感動するシーンのことを指したり、役柄の感情が大きく動く瞬間であったり、ストーリーで起こる事件のことであったり、役柄の葛藤であったり。
ここでは仮にドラマを「変化すること」と定義してみます。
段取りをドラマにするためには、その時に変化しているかどうかが問われます。

この「変化」ということが基礎演技と関わってくる気がします。
演技の基礎として必要とされるものを思いつく限りであげてみます。
リラックスすること、集中力、リズム感、アンサンブル、反応、身体能力などなど。
リラックスや集中力は変化を生み出すための素地として必要になります。
アンサンブルや反応は変化するきっかけ捕まえるために必要になります。
リズム感や身体能力は変化したことを表現するために必要になります。

このように見ていくと、リラックスと集中力に関しては問題ないように感じます。
予想ですが、筒井さんが指摘する基礎演技で抜けている要素というのは変化するきっかけをつかむアンサンブルと反応ではないかと感じます。

変化するきっかけはどうすればつかまえられるのでしょう?

まず前提に変化するものが必要になります。
おそらくそれは役柄の目的になります。
日常では無自覚かもしれませんが、人間には必ず目的があります。
休憩だとかでボーっとしているとしても、その休憩するということが目的ですし、言ってしまえば生きていて、その生き続ける事というのが目的になります。
この目的を明確に自覚して持っているかどうかというのが幸せかどうかに結びついているのではないかとも感じますが、それはまた別の話題です。
話を戻しまして、ストーリーを作るにあたって役柄がどんな目的を持っているかは必ず用意されます。
今回のほとぼりも、言ってしまえば前半は全ての役柄の目的がなんなのかを提示していくシーンに費やされています。
役者として客観的に役柄の目的を脚本から読み解いておくと演技を考える上での手がかりとなります。
例えばある動きの指定や言い方の指定といった段取りが決まったとして、なぜその段取りになるのかの理由をこの目的をヒントに考えることもできます。
動きの原因はこの目的から逆算できるのではないか、目的があるから動機が生まれるのではないか。
行動や話し方の段取りや台詞の内容よりも、この目的と動機があり周りの役柄や状況と関係が持てていればいいのではないかとさえ思います。
段取りや台詞は間違えても見ている側は気がつきませんが、役柄の目的や動機がないと違和感を感じます。
例えば演劇は毎本番が全く同じということはありませんから、目的や動機が違う風に積み重なる可能性もあります。
そんな時に決められている段取りと動機に齟齬があるならば、その瞬間の動機を優先した方が見ている側は納得できるはずです。
いくら脚本に泣くや笑うという指定があったて動機がないならやるべきではないということです。

まとめると変化のきっかけをつかまえるには、まずは役柄の目的が必要になります。
この目的を他の役柄や周りの状況と関係させることで、役柄の中にある動機が生まれ、その上で段取りだからではない動き(台詞を言ったり立ち位置を変えるといったことだけでなく、黙ったり止まることも動きに含まれます)につながっていきます。
変化のきっかけは目的と動機のあいだにあり、それがアンサンブルや反応という基礎演技で鍛えられる部分です。
アンサンブルや反応が変化のきっかけをつかむことになるのかといえば、他の役柄や状況に対してのアンテナをはっておく能力であるからです。
そのアンテナが何を受信しやすい種類なのかが役柄の目的によって決まってくるということです。


長い文章になりました。
伝わる文章になっているのか、わかりにくいのではないかと不安ですが。
ただ言えるのはこの文章はほとぼりを面白い作品にしたいという目的があって、筒井さんの言葉や劇団員の演技に反応して自分の考えていることを伝えたいという動機のもとに書かれています。
つまり稽古の前と後では僕の中で変化が起こっていたということでしょう。
ただそれを表現する基礎能力がかけていたということで。
変化を表現する基礎能力に関してはまたの機会にまわします。



自分の役柄の目的はなんでしょうか?



そこから始めてみましょう。