2016年10月11日火曜日

居場所をさがす、奪われる。

10月11日 恍惚一座 担当:梶川

全員で作品作りの2週目です。

山口さんからの設定の提案がありました。
安部公房の友達をモチーフにしてみませんかと。
以下、友達のあらすじをウィキペディアより。


夜の都会。奇妙な9人家族が「友達のブルース」を歌いながら、愛と友情を届けるために一人ぼっちの孤独な人間を探し、ある一人暮しの男のアパートを訪ねる。 彼らは、拒む男の意向を無視して部屋に闖入した。男は、不法侵入だと警察に電話をするが、管理人や警官らにも信じてもらえず、一家に居座られる。出て行ってくれと頼む男に対して、一家は、様々な屁理屈で応酬し、多数決の「民主的な」ルールを押し付ける。彼らは、男の婚約者や彼女の兄も、うまく言いくるめてしまい、男はそのまま一家と同居を続けなければならなくなる。
半月が経ったある晩、長女と男が一緒に寝て何か相談しているところを、次女が発見する。男が長女に誘われ逃亡しようとしていたことを、次女は他の家族を呼び報告し、男は弁解も虚しく、罰として玄関の靴箱の檻に入れられた。食事係の次女は、憔悴している男に牛乳をすすめ、男がそれを飲む干すのを見届けると、檻の錠前の鍵をあげると言った。男は喜んでそれを受け取ろうとするが、突然震えが激しくなり、恐怖にひきつれて動かなくなった。次女は男の死の間際に、「さからいさえしなければ、私たちなんか、ただの世間にすぎなかったのに……」とつぶやき、檻にそっと毛布をかけすすり泣く。
次男は次女に、「なんだ、おまえ、またやってしまったのか!」と言うが、「しょうがねえなあ……」と、平気で引越し準備にかかった。父が、「故人は常にわれらが良き友でありました」と哀悼を述べ、一家はハンカチを振ってアパートから出て行進し、笑い声を響かせながら去って行く。

まずは夫婦のところに四姉妹が押しかけてきて居座るというエチュードから。
最初の即興では夫婦が拒絶にまわることが多かったのですが、これを同情からついつい世話をしてしまい、結果いすわられるということにならないかと模索します。

でも現実のことを考えるとまず扉を開けない。
ならば宅配員ならばどうかと。
荷物を届けて、宅配員も込みで荷物ですと。
私もお荷物なので家においてくださいと、そうじをしたり料理をしたり風呂を沸かしたり。
なんとも不気味です。
自分の居場所が変質させられていくのが実際に自分に起こったと想像すると背筋が凍ります。
いろいろ積み重ねた結果、自分の居場所ではなく実家が奪われるという設定に。
母親のところにいくと、他人が母親の世話をしていてその他人と母親が親子だということになっている。
不動産屋も現れて、家が売りに出されているとのこと。

設定もさることながらエチュードの中で出てきたちょっとした言葉に魅力があります。
山口さんはそれをメモしています。
2週間お休みになります。
宿題としてその間に安部公房の友達を読んでみると。
自分の居場所は本当にここにあるのでしょうか。