2016年3月23日水曜日

静かな演劇。

3月22日 そよ風ペダル 担当:梶川

シーン稽古が続きています。

棒読みの抑制したセリフ回しにテンポを加えていく稽古をしています。

今回の作品はいわゆる「静かな演劇」というものではないでしょうか。

静かな演劇とは、スピード感あふれるにぎやかな演劇に対して90年代ごろから現れ始めた演劇の形態です。

特徴としては日常レベルの等身大の人間の在り方を描いていくところにあります。

非日常を描くことが面白さに繋がっていたところで、日常を舞台空間にのせてしまうというところに新たな価値観が生まれたのかもしれません。

静かな演劇が生まれて以降、これに対してどう向き合っていくか、もしくはいかないのかが一つの命題になっていたように思います。

非日常と日常の対比がここにはある気がします。

非日常は既成から離れてダイナミックで強い表現ができて観るものの心を打ちますが、観る側は傍観者から抜け出すことが難しい面があるのではないでしょうか。

日常は自分の置かれている世界と地続きであるため当事者意識を生み出す可能性がありますが、抑圧した表現であるためある種の退屈さを感じることもあります。

あくまで個人的な印象で、このように二つわかりやすくわけることは暴力的ですらありますが。

シニア劇団で静かな演劇の作品をするということが珍しいのではないかと思います。

日常のありのままでシニア劇団のみなさんは魅力的であります。

では静かな演劇を簡単にできてしまうかというと、そこにはやはりいくつかの課題がありそうな気がします。

いまはまだ、どんな課題があり、それにどう答えていかなければならないかはわかりません。

しかし答えが導き出せたなら、観ている方も舞台世界に当事者として入り込んでもらい、その胸をグサリと突き刺すような心の動きを感じてもらえるのではないかと思っています。

地道な稽古が続いていますが、できあがる作品に期待が高まっています。

シニア劇団での静かな演劇、いったいどのように作り上げられるのでしょうか。