2013年11月27日水曜日

読み方を変える。

11月26日 恍惚一座

稽古は毎回ラジオ体操から始まります。
先週からこれに加えて発声の稽古もルーティンになりました。
天使の発声から。
次回の公演ではみんないい声でお届けできることでしょう。

今日のメインのワークは朗読になります。
題材は湊かなえの「贖罪」。
始まりの4ページ分をペアになって朗読します。
ペアで話し合ってどういう配分で読むかを自分たちで決めます。
つまりは作品を解釈して、表現したいことを決めどうすればそれが伝わりやすいかを考えます。
要は自分自身で表現方法を考察する、自己演出のワークから。
作品は主役がとある人に宛てた手紙として書かれています。
ゆえに主役の主観で書かれていくわけですが、
現在と過去の話で分ける、
自分が言った言葉と他人から言われた言葉で分ける、
過去の中での時間の経過によって分ける、
状況説明と心情説明で分ける、などなど。
解釈の仕方はたくさんあります。




ペアで話し合い少し練習した後にみんなの前で発表。
山口さんの指示の段階ではどこを読むかを決めてくださいということだけでしたが、
あるペアはここは二人で一緒に読もうというアイデアを思いついていて。
これこそまさに自己演出だなと、とても効果的でした。
発表を見た印象をもとに山口さんから読み方の提案が入ります。
その提案は文章の内容から登場人物の感情を想像して
と言うことではなく、読むときにイメージや目的を持たせて方法を変えてみるといったもの。
例えば地面に文章を書きつけるように読む、
外国人に文章を理解させるために読む、
娘の手紙を盗み読んでいるつもりで読む、
厳しい先生になったつもりで読む。

感情で読み方を考えると自分一人の中だけのものになり、
表現が見ている側に届きにくくなります。
イメージや目的によって方法だけを変えていくと、
感情や表現は見ている側に委ねられて広がりを持ち始めます。
目的を持つことで読み手の集中力が明らかに高まります。
また目的に寄り添うことで、読み手と作品に距離が生まれます。
この距離の間に観ている側の想像力の余地ができあがります。
読み方に合わせて山口さんが音楽を流します。
なんだか上質な舞台のオープニングのようでドキドキしました。

次回の稽古ではペアから一人での朗読に進みます。
余裕があれば自分の読みたい作品を持ってきてくださいと。
みなさんどんな作品に親しんでいるのか、ちょっと興味がわきます。
その好みが次回公演の作品をどうするかのヒントになるかもしれません。
楽しみに来週を待ちましょう。