2013年8月28日水曜日

派手な演技、地味な演技。

8月27日 そよ風ペダル
今日のワーニャ伯父さんのテーマは派手な演技をしてみようでした。
派手な演技をしている役者を演じることが、次回作品に使えないかという試みです。
テンポよく役を回して皆さんのイメージする派手な演技を確かめていきます。

段取りを追加するとともに、筒井さんから見ていて足りないと感じた派手な演技のポイントを。
声の抑揚をつけて感情を大きく表してみる。
立ち位置が全く変わるような移動などの大きな動き。
長い台詞をしゃべる時などに、対話者から視線を離して、
客席に向かって堂々と台詞を発してみる。

最後にみなさんが感じる派手な演技についての話し合い。
いろんな意見が出てくる中で1つ気づいたこと。
最近のテレビドラマは派手なものが視聴率がいい。
派手な演技というのは、見た目でわかりやすく満足感を与えるので
観ている側の想像力などの負担が少ないのではないか。
普段の感覚を誇張することによって、ひとつのことを強く伝えて共感を呼ぶ。
翻って地味な演技では普段の感覚を普段の感覚のまま取扱い、たくさんのことを等価にして伝わるかを受け手に任せる。
受け手に対する関わり方が違うのかもしれません。
発することと受け止めることのどちらに重きを置いているか。

なぜ今日の稽古で派手な演技を考察したのかの説明がありました。
次回作品の構成に少し関わっているので詳しくは話せませんが。
みなさんが納得して、派手な演技を手に入れることを目指します。

日常のストッパーを外す。

8月27日 恍惚一座

ゴジラの稽古が進みます。
作品創作の上でのルールが決まります。
シンプルにそのルールを言い表すなら嘘をつかない。

例えばその部屋から逃げ出そうとする目的があるのに
舞台から出て行ってしますとその後が続かないという理由で
動きをセーブするといったことはしない。
段取りや、頭で言葉を使って考えた理由に縛られて
体の反応をセーブするのではなく
体の衝動や動きの目的に素直に従う。

言葉で指示されて、それができれば苦労ないよなと感じましたが
明らかに動きが大きくなり、見える印象がガラリと変わりました。
良いことなんですが、できてしまうみなさんがすごいなと。
山口さんと皆さんの間の信頼関係が厚いので、
素直に受け止め、そこに向かおうと我武者羅になれるが故ではないでしょうか。

作品が向上するのりしろはまだまだたくさんあるのは明確です。
なんだか作品の進化の仕方が突然変異のように
奇跡的に爆発的に変化していくのではないか。
今回のゴジラは本番ギリギリまで明確な姿を見せず、
何かのきっかけでいきなりできあがるのではないか。
そんな予感がしました。

2013年8月24日土曜日

素材を集める。

8月20日 そよ風ペダル

ワーニャ伯父さんの稽古が進んでいます。
稽古開始前に再度ワーニャ伯父さんの取り扱いや
次回作品に向けてのことを確認します。
ワーニャ伯父さんの役柄を演じて立ち稽古をしています。
演技のワークを細かく行い、ワーニャ伯父さんを作品として完成させることは目的とはしていません。
全体として共有しておきたい、演技の基本だけおさえていきます。
稽古ででのメインで行われることは
ワーニャ伯父さんからテーマを持ってきて
みんなで喧々諤々と話し合うこと。
この話し合いが次回の作品の素材になっていきます。
演劇をしているので、作品に関わること、
セリフに関わることに注目しがちですが
現段階では演技のワークではない、
何気ないおしゃべりも重要だということです。
いつもよりおしゃべりの掘り下がり方が深くなった気がします。
脚本は第一幕の終わりまで届きました。
四幕ありますが、できれば最後まで稽古をしていきたいという野望があります。
次回公演の作品がどうなるかに非常に興味を持ちながら
ワーニャ伯父さんを最後まで見てみたいと。
毎週どんな議論が聞けるのか、楽しみで仕方ありません。

セリフ以外のもの。

8月20日 恍惚一座

みなさん頑張ってセリフを覚えようとしています。
脚本をはずしてセリフをしゃべろうと必死です。
しかし、セリフを思い出すことに一生懸命になりすぎると
役柄がその場にいて会話をしているという感じがなくなります。
演技でなくセリフの当てっこになってしまう。
稽古場では一人一人のセリフが言えるかではなく
相手役の演技をどう受けるか、
全体の流れをどう作っていくかが重要になります。
つまりはそれが演技すること。
何を見せるかを明確にする試みにおいては
脚本を持っているかどうかは、さして問題ではありません。
もしかすると公演の本番でさえ、
セリフを覚えているかどうかは問題ではないのかもしれません。
見ている側はセリフを正しく言っているかどうかを楽しんでいるのではなく
もっとほかの所を見て(感じて)楽しんでいます。
脚本を持っての稽古になります。
セリフではない他の部分への創作になり
役者さんへの演出の深度が掘りさがったように感じました。

2013年8月17日土曜日

舞台の風、居場所の確保、無数の可能性。

8月13日 そよ風ペダル

今日のキャスティンを決めて立ち稽古を。
舞台セットを想定して共有します。
能や多くの舞台の慣例で、客席から見て左側が玄関や外側
右側が家の中、内側というイメージがあるようです。
とある演出家曰く、右から左に向かって舞台の風が吹いているそうです。
役者が右から左に動くと旅立ちに見え、
左から右に動くと帰還に見える。
これに習って、家の奥から出てくる時は右から、外から入ってくる時は左からと。

役柄の1人がずっと喋っているという設定で。
ずっと喋っている人は何を喋っているのかを考えてみます。
思いついたことを判断を挟まずに口につく人がおしゃべりなのでは。
生育歴によるのかも。
自分の居場所を確保するために、しゃべって行く必要性があった。
しゃべっていないと場所を支配できず不安になっていくのではないか。
この役柄も不安なことがあり(不満なことについては台詞化されています)喋りまくっているのではないかという仮説を得ました。

前回問題になった間をどうつくるかを再び。
筒井さんが何か語る前に、みなさんの中で自然発生的に話し合いがもたれます。
それぞれが自分なりの解釈をしていることを出し合います。
そこに筒井さんが加わってもそれは答えを決めていくということではなく。
ひとつの意見として、対等に話し合いに参加している状態。
創作とはこういうことでしょう。
絶対的な答えがあるわけではなく、無数に広がる可能性の中から
検証と決断を繰り返して、この場で答えを作り上げていく。
取りあえずの答えを用意して、そのシーンを試していく。
試行錯誤の繰り返しで、ワーニャ伯父さんを作り上げていきます。

役柄になっていく。

8月13日 恍惚一座

ひきつづきインタビューのつづき。
2週目になってコツをつかんだのか、質問に対してよどみなく発話が出てきます。
なんとなく、喋っている人がその役柄に見えてくるから不思議です。
今日はオープニングの稽古。
オープニングシーンの中で話しかける方向性や
語られる内容の時制によって
ブロックごとにわかれています。
その分かれ目でどのように雰囲気を変えていくか。
ポイントだけ山口さんから指定されて、
シーンの変化を生み出していきます。
じっくり稽古して、オープニングを作り上げていきます。
シーンごとの稽古がしばらく続いていくようです。

2013年8月11日日曜日

やりたいことと見えたいことのバランス。

8月6日 そよ風ペダル

体操、発声を終えワーニャ伯父さんの稽古です。
先週までやったところを配役を決めて通し稽古。
始める前に筒井さんから稽古の留意点を。
やっていくうちに気持ちが入ることによって、
しゃべり方がゆっくりになる可能性があるので注意しましょう。
みなさんがやりたいことと、お客さんが見たいものの落としどころを見つけたい。
前回公演の面白さとして、その人の素の魅力を前面に出していて
それは常にあるべきですが、次回公演への積み重ねとして
お客さんが見て、それがわかりやすいか、面白いかという意識を加えていきたい。
翻訳脚本はセリフが長かったり、日常会話から少し離れていて
朗々と語りたくなるが、それが見る方からしたらどうなのか気にしよう。
決して早口でしゃべるということではなく、自然な見やすいテンポのやり取りを探っていきます。

通し後にこれまでの稽古でお馴染みの話し合いタイム。
今日はやっかむとは何か?とつりあいのとれない夫婦について。
単なる雑談から、ふっと振り返って登場人物の関係性に戻って脚本解釈が深まります。
立ち稽古に戻って今日の追加分のシーンの稽古。
シーンの始まりは陰口的なことを離していたところに
その話題の張本人が登場して、ちょっとした沈黙が流れるというもの。
この沈黙の空気を作ってみます。
しゃべっていた人の作る空気もさることながら、
入ってきた人がどうなのか。
このようにして細かくシーンができあがっていきます。

サイドストーリーを絡ませる。

8月6日 恍惚一座

講師の山口さんが活動しているトリコ・Aの本番が終わり稽古再開です。
2週のお休みの間に自主練習をして、迎える準備は万端です。
公演稽古の再始動としての始まりは、役柄へのインタビュー。
みんなの前に役柄として立ち、インタビュアーから出される質問に
考えず思いつくままに答えていきます。
家族構成や両親との関係、学生時代の思い出など。
役柄のバックボーンは脚本には詳しくは書かれていません。
セリフとセリフの行間を埋めるために
インタビューを通してどんな役柄なのかを掴んでいく作業になります。
登場人物には私たちと同じように、それぞれに生きてきた積み重ねがあるはずで
つまりは表に出てこない役柄のサイドストーリーがあります。
そのサイドストーリーが他の役柄に影響していることもあるでしょう。
お互いにこの絡まり合いを稽古場で共有し、
大きなうねりのある本筋のストーリーができあがっていきます。
役柄の半分までインタビューを終え、残りは来週に持ち越し。
立ち稽古ではオープニング後からいけるところまで。
ちょっとずつ山口さんから段取りの提案が入っていきます。
観ていて何が面白いかを伝え、そこを強めていきます。
公演チラシもできあがり、本番に向かって否が応にも盛り上がります。
時間はあっという間に過ぎていきます。
本番まで走り抜けましょう。