2012年8月15日水曜日

脚本から自由になるには。

8月14日
朝からの雷雨でみなさん無事に稽古場に来られるか心配されましたが、お盆中にも関わらずみなさん元気に稽古に参加されています。
体操と発声。今日の発声では自分の無理なく出せる高音と低音の声を確かめた後、お腹で声を短く切りながら高音と低音の声を交互に切り替えて発声するというのを体験しました。高音、低音の音をそれぞれ発声することと、お腹で短く切って発声することはみなさん問題なくできるのですが、これが合わさると少し難しさを感じられたようです。演技をしているとき同時にいろんなことをしなければなりません。少しずつ複雑な事に体を慣らしていって幅広く深い演技を目指していくにはこういった地道な基本の稽古が欠かせません。
また筒井さんから滑舌についてのお話がありました。発声の稽古で早口言葉やういろう売りをする事があり、その稽古には意味が確かにあるが、その稽古をする前に準備として顔のマッサージや舌の運動をする事が大切ではないか。それを日頃からしているかしていないかで滑舌の良さが変ってくるとの事。筒井さんが滑舌のための舌や顔の運動をデモンストレーションされ、顔をゆがめたり大口開けたり舌を出したりとみんなの前でやるには恥ずかしさもあるのでお家で日頃からこっそりやってみて下さいとのことでした。
名前ゲームを足踏みリズムに合わせて。やっていると一定のリズムを刻み続けるというのが難しいようです。だんだんと速くなっていってしまう。来週はメトロノームに合わせて挑戦です。
最後の締めとして筒井さんの合図のあと一呼吸でタイミングをはかってみんなであうんの呼吸で「あ」と発声するワーク。いつもは少しずれがあるのですが、慣れてきたのか、それとも名前ゲームのあとで場の空気ができていたからか今日は一発で決まります。とても気持ちがいい締まり方です。

脚本稽古。前回のやり残しシーンから新しいシーンまで。バトンを渡すシーンの台詞の割り振りを確認してシーンごとに通してみます。新しいやりとりのシーンではその台詞が誰に向けられているのかの交通整理とそのシーンでやりたい事をするためにそれぞれの役柄の関係性を確認し、関係性を作るためにある役柄に対しする演技的要求がありました。それに加えて即興を生かすとして少しナーバスなシーンである中、どう自由度を高めるか。何度か繰り返し演じてナーバスな空気と演技の自由さのバランスを確かめます。
最後に以前何度か繰り返し稽古して、まだ脚本に組み込まれていないシーンをどう構成するか考えるために演じてみます。何度か稽古していてシーンをもらってから時間も立っているのでかなり自由に自分の声として演じられていました。何度か稽古を繰り返す事によって他のシーンもこれくらいに自由度のある即興的なシーンに仕上げることを筒井さんは目指されています。
演技の自由度はどこから来るのだろうと考えたとき、一つの原因として脚本からの束縛をいかに乗り越えるかというのがあります。脚本に縛られているうちは書き言葉でやり取りをしていまい、その人が誰かにしゃべっているということが見えてきにくく感じられます。台詞を確かめるために脚本に目線を落としていたとしてもある程度書かれている言葉を自分の中に咀嚼できていればやりとりが見えてきます。言葉を自分の中に咀嚼する。それがいったいどういう事なのか説明するのは難しいのですが。人それぞれ違ったりもするのですが。即興のように演じるという最終目標はその答えをみつけるのに大きな手がかりを与えてくれるような気がしています。