2012年8月28日火曜日

自発的な意識の高さ。

8月28日(火)
今日は体操と発声をして名前ゲームは割愛して脚本稽古に入ります。
8月最後の稽古で試演会まで一か月弱。
残り時間も限られてきました。
追加シーンを稽古して、最初からシーンを区切りながらの稽古です。
細かな段取りや演出、工夫が盛り込まれていきます。
立ち位置の事であったり、シーンのつなぎでセリフ中に役者が移動するのでお客さんの意識が移動に奪われないように
そのセリフをしっかり伝えていくであるとか。
活発にやり取りをする流れから、みんな黙って一人の役者の発言を固唾をのんで聞いたり、シーンの切り替えで一拍の間を作るなど作品に緩急も生まれ始めています。
筒井さんが思っていたところまでシーンの稽古が進まなかったらしく苦悩されています。
だからと言って焦って創作を進めるわけにもいきません。
丁寧に効率よく良い作品に仕上げていく。
みなさんもセリフを覚えてできるだけ脚本を離そうと試行錯誤されています。
来週の稽古はお休みの予定でしたが皆さんの方から自発的に稽古をしようという声が上がりました。
自分たちでみっちり稽古してセリフを覚えきってしまおうと意気込んでいます。
かなり意識高く稽古は進んでいます。
みんなで一つの目標に邁進して、時間に打ち勝って良い作品をお届けしましょう。

2012年8月24日金曜日

ユーモアの伝え方。

8月24日(金)
稽古はいつも火曜日ですが、今日は以前台風でお休みになった時の振り替え稽古です。
予告通り名前ゲームを役名でおこないました。
役名がなじむまでは作品中に役名でよく呼ばれる人に声掛けが集中していましたが、
少しづつみなさんがいろんな人の役名を覚え始めて、早い段階でいつも名前を呼び合っているのと変わらないクオリティでゲームが進行するようになりました。
役名への親しみが増したように感じます。

追加ページを確認して稽古。
だんだんと話が確信に近づいてきたように感じます。
試演会で本公演に比べて上演時間が短いので
どこまで描きまとめるのか、筒井さんは苦心されているようです。
追加シーンを稽古した後にできているところまでの通し稽古。
追加ページが加わって前回と同じ時間で終わりました。
一週おいて、セリフの盛り込む量の調整や
セリフのやり取りのテンポを意識された結果ではないでしょうか。

通し終了後に振り返りをおこないます。
印象に残ったお話としてお客様へのユーモアの届け方というのがありました。
ユーモアのある面白いシーンがあるとして
それを演じている方で先に面白そうに笑いながら演じてしまうと
見ている方までその面白さが伝わらないという話です。
先に面白がられてしまって、見ている方は面白さを奪われた気になってしまう。
例えばお笑い芸人は面白いことを笑わないで真面目に言うから
見ている人は笑ってしまうといった話です。
日常生活でも面白い話をしゃべる前に本人が笑ってしまって
そのあと面白い話をされても聞いている方はどこか先にさめてしまい、愛想笑いになってしまうというのはよくある話ではないでしょうか。
同じ意味で「これ面白い話なんだけど」としゃべり始めるのも
ハードルが上がり、同じ意味でユーモアが伝わりにくい状況を生みます。
役者の一つの必要な能力として見ている人に発見を与えていくというのがあります。
発見が驚きを生み、驚きが心を動し、さまざまな感情を生んでいく。
これを感情移入と呼ぶのでしょう。
役者はユーモアのあるシーンがこの後に起こること知っています。
だからこそ、発見を生み出すためにそんなシーンがくるとは思わせないようにそこへ向かう方向性を隠して、
もっと言うなら他の方向に話が進んでいるように思わせておく必要がある。
そしてそのシーンが来た瞬間に全く知らなかったというようにお客さんの後に発見していく。
その瞬間に反応することによって舞台上の存在感も増すのではないでしょうか。
少しテクニカルな話ですがお客様に喜んでもらうために稽古を積み重ねましょう。

2012年8月21日火曜日

作品全体を通して見えてくるもの。

8月21日
体操と発声から稽古開始。体操では週一回この稽古だけでなく、体のためにも日ごろから体操をしてもらうようにとのこと。発声ではお腹で声を短くきって声を出すことを丁寧におこないないました。喉で切るのではなくお腹で切る。一声ずつで口を閉じないなどの指摘がありました。


名前ゲームにメトロノームが使われます。なかなかリズムに合わせるのに苦戦中。身体を動かすと気持ちや場の空気が上気して落ち着いて集中することが難しくなるのかもしれません。名前を呼ぶところでつい役名を呼んでしまうというハプニングも起こったり。でもこれは作品をつくっているんだという意識の表れでもあるので。そのうち役名で名前ゲームをしてみようという提案がありました。


前回シーンの続きからの追加と以前もらっていたシーンが改めて作品の一連の構成の中で追加されました。まずは今日の追加シーンの稽古から。みなさんの即興的な演技でシーンづくりを進めています。今まで初見では脚本に書かれている言葉に沿っての稽古になりがちでした。今日はみなさんが書かれた言葉を自分の声に置き換えることに慣れてきたのか、初見でも語尾がご自分の自然な言い回しになっていたり、書かれた言葉の意図を即座に組んで新しい言葉やセリフを盛り込んでみるといったことありました。創作のスピードが早まるのではないかという予感を感じました。

追加シーンの解釈が曖昧なところ整理して稽古をおこない、脚本ができているところを最初から通してみました。通してみるとみなさんの持ち味がたくさん出てきて面白い。しかしまだ脚本を確認しながらシーンを進めているので、予想より一度通すのに時間がかかってしまいました。セリフを自分のものにして、相手の声を聴いて反応してやり取りしていけば、シーンのテンポやリズムも出てきて面白さが倍増していきそうです。みなさんの自分らしい声の持ち味と、シーンのテンポを作るという演技の技術的な面白み。この二つが喧嘩しないでバランスよく作品に反映されたなら。次週の稽古ではまた作品の違った側面が見えてくるのだはないでしょうか。







2012年8月15日水曜日

脚本から自由になるには。

8月14日
朝からの雷雨でみなさん無事に稽古場に来られるか心配されましたが、お盆中にも関わらずみなさん元気に稽古に参加されています。
体操と発声。今日の発声では自分の無理なく出せる高音と低音の声を確かめた後、お腹で声を短く切りながら高音と低音の声を交互に切り替えて発声するというのを体験しました。高音、低音の音をそれぞれ発声することと、お腹で短く切って発声することはみなさん問題なくできるのですが、これが合わさると少し難しさを感じられたようです。演技をしているとき同時にいろんなことをしなければなりません。少しずつ複雑な事に体を慣らしていって幅広く深い演技を目指していくにはこういった地道な基本の稽古が欠かせません。
また筒井さんから滑舌についてのお話がありました。発声の稽古で早口言葉やういろう売りをする事があり、その稽古には意味が確かにあるが、その稽古をする前に準備として顔のマッサージや舌の運動をする事が大切ではないか。それを日頃からしているかしていないかで滑舌の良さが変ってくるとの事。筒井さんが滑舌のための舌や顔の運動をデモンストレーションされ、顔をゆがめたり大口開けたり舌を出したりとみんなの前でやるには恥ずかしさもあるのでお家で日頃からこっそりやってみて下さいとのことでした。
名前ゲームを足踏みリズムに合わせて。やっていると一定のリズムを刻み続けるというのが難しいようです。だんだんと速くなっていってしまう。来週はメトロノームに合わせて挑戦です。
最後の締めとして筒井さんの合図のあと一呼吸でタイミングをはかってみんなであうんの呼吸で「あ」と発声するワーク。いつもは少しずれがあるのですが、慣れてきたのか、それとも名前ゲームのあとで場の空気ができていたからか今日は一発で決まります。とても気持ちがいい締まり方です。

脚本稽古。前回のやり残しシーンから新しいシーンまで。バトンを渡すシーンの台詞の割り振りを確認してシーンごとに通してみます。新しいやりとりのシーンではその台詞が誰に向けられているのかの交通整理とそのシーンでやりたい事をするためにそれぞれの役柄の関係性を確認し、関係性を作るためにある役柄に対しする演技的要求がありました。それに加えて即興を生かすとして少しナーバスなシーンである中、どう自由度を高めるか。何度か繰り返し演じてナーバスな空気と演技の自由さのバランスを確かめます。
最後に以前何度か繰り返し稽古して、まだ脚本に組み込まれていないシーンをどう構成するか考えるために演じてみます。何度か稽古していてシーンをもらってから時間も立っているのでかなり自由に自分の声として演じられていました。何度か稽古を繰り返す事によって他のシーンもこれくらいに自由度のある即興的なシーンに仕上げることを筒井さんは目指されています。
演技の自由度はどこから来るのだろうと考えたとき、一つの原因として脚本からの束縛をいかに乗り越えるかというのがあります。脚本に縛られているうちは書き言葉でやり取りをしていまい、その人が誰かにしゃべっているということが見えてきにくく感じられます。台詞を確かめるために脚本に目線を落としていたとしてもある程度書かれている言葉を自分の中に咀嚼できていればやりとりが見えてきます。言葉を自分の中に咀嚼する。それがいったいどういう事なのか説明するのは難しいのですが。人それぞれ違ったりもするのですが。即興のように演じるという最終目標はその答えをみつけるのに大きな手がかりを与えてくれるような気がしています。

2012年8月13日月曜日

最初のハードル。

8月7日
体操と発声の基礎稽古に続いて一週あいての名前ゲーム。なんだか以前に比べて場の雰囲気が変ったように感じました。ゲームに慣れてきたというのもありながら、全体的に心地よい緊張感とそこから生じる集中力の高さを感じます。具体的に言うなら名前を呼ばれてから両隣のどちらかをタッチする流れがテンポよくスムーズになっていました。チームとして成熟が始まっている、そんな感じです。スムーズになったところで名前ゲームにルール追加。足踏みのリズムに合わせて二拍で呼びかけて一拍でタッチ、一拍休みの4拍子を繰り返し。一定のリズムに体をのせながら頭を動かす。頭と体を同時に動かすにはどうしたらいいか。端から見ていての感想として、まずは体が意識しないでも動くくらいにリズムに馴染む必要がありそうだと感じます。名前を呼ばれた後に一拍休みをいれたくなったりして少しづつリズムがずれていく。また来週から頑張りましょう。

これまでの脚本や追加のシーンを改めて最初からできているところまでの脚本が配られます。ページ数もふってあるので、配られてところまではこの流れでということのようです。最初のページにはみなさんの役名が列記されています。自分の演じる役の名前が決まるとワクワクしてきます。


試演会の情報が載っているチラシができあがり、そこに少しあらすじが載っているのでこのブログでもある程度お話の内容に触れていこうかと思います。お話の設定としては登山を通して集まった仲間たちの中で一人の行方不明者がでます。そしてその行方不明者が残した、とある「記録」がみつかります。残された人たちは何を感じ、何を見つけ出すのか(または見つけ出さないのか)。

脚本の流れがみえたところで最初から順番に稽古です。独り語りのシーンで台詞のある部分についての解説。そこだけ読んでいるだけでは分からないが、実はその台詞には作品全体の核に繋がる意味合いが含まれているということ。自分で自由に喋る事を決めていい箇所になっているが、そういう観点も交えてもう少し見ている人に印象を残せるシーンにしていきたい。


また新たに増えたシーンで残された人たちが他愛なく喋っている途中でフッとした気まずさから沈黙が生まれるというシーンがあります。いわゆるお芝居の間というものです。脚本で台詞がしっかりあってト書きで間と書かれている場合はそこで黙ってしまえばある程度間のように見えるのですが、今回は即興の途中でみんなで間を作らなければならず、しかもその気まずさをどう捉えるのかも作っていかなければなりません。この間を生み出すという事。今回の作品の核に近づくための最初のハードルかもしれません。