2012年5月29日火曜日

何もしないときに何かをする。

今日の稽古は筒井さんが用事でお休みなので担当の梶川が代講をしました。
まずは、円になって椅子に座り隣の人同士で手のマッサージをしながら名前とあだ名を言って、先週お願いしていた考えてきてもらった劇団名か思いつかなかった方は嫌いなものの発表を順番にしていきました。
みなさんなかなかユニークでおしゃれな劇団名を考えてこられています。
どの劇団名も捨てがたい。さて、どの劇団名になるのか楽しみです。
あだ名と劇団名(もしくは嫌いなもの)が出揃ったところで、名前を呼んで回していくワークを始めます。
最初の人は椅子から立ち上がって誰かに向かって歩いていく。
向かってこられた人は、向かってきている人のあだ名を言って立ち、あだ名を言われた人はその空いた席に座ります。
あだ名を言って立ち上がった人は次に、別の誰かが言った劇団名を言ってその人の方に向かって歩いていく。
向かってこられた人はまた向かってきている人のあだ名を言って立ち上がり別の人の劇団名を言ってその人の方に向かって行くのを繰り返します。
言葉で説明すると簡単そうなのですが、やってみるとやることの要素が多くてややこしく最初からハードルを上げ過ぎてしまいました。
少しハードルを下げて劇団名と移動をなくしあだ名でやり取りを回していきました。
覚えることにむずかしさはありますが、みんなで何かをつなげていくことは、また別の技術が必要です。
例えば、自分の名前を呼ばれるまでなんとなく座っているだけだと、いざ自分の名前を呼ばれたときにそれをつなげるのに用意が必要で、ワンテンポ遅れてしまいます。
舞台上に立っているときも、実はセリフをしゃべっているのと同等に、場合によってはそれ以上にセリフをしゃべっていないとき、なにもしていないときにどう舞台に立ち準備を続けているかが大切になります。
ゲーム中であれ舞台上であれ、何もなくても準備をし続けみんなでその場に参加し続けその場の雰囲気を共有し一体感を持って一つの作品を生み出す。
そのことは頭で考えても仕方ないことで、こういったゲームを通して体感することによって感覚を掴んでいくしかありません。



覚えることで頭を使いすぎたので、休憩をはさんで今度は体を動かすワークに入ります。即興でダンスを作ります。2グループにわかれ、一人目が思いつきで簡単な動きをみんなに伝えます。次の人がその動きに続く動きを思いつきで足していってみんなで共有しといった具合に動きをまわしていき即興のダンスを作りあげました。予想していたよりもアクティブな動きが出てきていて驚きました。
動きが出揃ったところで1チームには通常のテンポで踊る人と一つの動きを倍のテンポにしてゆっくり動くのを同時にやってみるグループともう1チームは踊りはじめをワンテンポづつずらして輪唱のように踊るという課題を設けました。短い時間での創作ですが、課題もクリアされて作品づくりに向けてダンスも取り入れるのではないかという期待が生まれました。

最後に全員で場の空気を共有することを体感するためにカウントアップゲームをしました。
数字を1から順に言っていくのですが、だれがどの数字を言うかは決めず誰かと同時に数字を言わないように周りを意識しながら言えそうなときに数字を言います。同時に言ってしまったら1からやりなおし。
表現することは何かを発することと思いがちですが、本当は何かを受け止めることなのではないかと考えます。
受け止めるからこそ、そこに思いが生まれ実感を伴って動いたり話したり関係をとることができる。
そんなセンサーが体の中にできたら。



今日のワークは劇団が始まったばかりでおこなうには、総じて難易度が高かったと思います。
ただ今日やったことを心の片隅に置いてもらって、実際の作品つくりを通して演技に対する何かしらの気づきになればと願っています。